性感染症(STD)とちんこニキビはどう違う?見分ける方法について

性病・性感染症であるSTD(Sexually Transmitted Diseases)は、性行為を介して感染する病気のことです。

性感染症(以下STD)はアダルトビデオやアダルト動画サイトの影響から近年では性行為も多様化しているため、通常のセックス以外にも口腔性交のオーラルセックス(フェラチオやクンニリングスなど)や肛門性交のアナルセックスによる感染も含まれます。

突然ペニスや陰嚢(金玉袋)、肛門付近に赤いできものや白いできものができているのを発見して、「もしかして性病⁉」とドキッとされた経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。

一方で、同じペニス周りに発生するできものでも健康上特に問題のないものもあります。

このペニスのできもののことを「ちんこニキビ」と一般的に呼ぶ場合(亀頭ニキビ、陰茎ニキビとも呼ばれます。)もありますが、STDとちんこニキビはどう違うのか。

ここではSTDとちんこニキビの違いについてや、もしペニスにできものが発生した場合に性病と見分けることができるのかについて専門クリニックが解説していきます。

STDとちんこニキビの違いについて

STDとちんこニキビの違いについてですが、一番の違いは健康上有害か無害かの違いです。

STDは性交渉を介してパートナーに移してしまう可能性や、反対にパートナーから移されて感染する場合もあります。

つまり性交渉未経験の方や、性交渉の機会が何年もないような方はSTDの可能性はほぼないと考えて問題ないでしょう。

ちんこニキビの場合は脂腺の増殖によってできる皮脂のかたまりで、顔などにできるニキビと同じく他人に移してしまうことはありません。

一般的にちんこニキビは痛みやかゆみが出るなどの症状もなく、病気でもなければ人に移してしまう恐れもないため、そのまま放置しておいても大丈夫です。

しかし、STDは潜伏期間が長いことや無症状のものも多く、見た目も一般の方ではなかなか違いがわからないといった問題があります。

そのため本人が気づかないまま進行する場合や、性交渉のパートナーに移してしまったり、反対に移されてしまったりする可能性が高いため注意が必要です。

他人事ではないSTDの種類と特徴

STDには主に以下の種類や特徴があります。

梅毒

近年、若い世代の方を中心に感染者数が急増していて厚生労働省でも注意喚起しているのが梅毒です。

梅毒は梅毒トレポネーマという病原菌が性交渉によってパートナーの粘膜や皮膚と接触することによって発症します。

主な症状としては赤い発疹が出て痒みなどを生じますが、潜伏期間が約4〜6週間と長いという特徴があります。

人によっては無症状がしばらく続く方も多いことから、本人が気づかないまま性行為を繰り返して感染を拡げてしまう怖い病気です。

梅毒は一度感染すると自然治癒することはなく、体内に梅毒トレポネーマが残ったままだと5〜10年後ぐらいに骨や臓器に腫瘍ができるケースもあります。

戦前までは死に至る病気として知られていましたが、現在では抗生剤による早期治療で完治が可能です。

少しでも違和感があればそのまま放置せず、最寄りの医療機関で診察を受けるようにしてください。

参考サイト

厚生労働省:梅毒に関するQ&A

国立感染症研究所:日本の梅毒症例の動向について

淋病

淋病は性行為によって淋菌(gonococci)に感染するSTDの一種です。

淋病の特徴としては患部が赤くただれたり、尿道や肛門付近に痒みや炎症を起こします。

潜伏期間が梅毒と比較すると2〜7日程度と短く、およそ4〜5日ほどで排尿時の違和感や尿道の痛みが出てきます。

そのまま放置しておくと痛みも段々と強くなる傾向があり、人によっては尿道口から膿が出る方もいます。

治療方法は梅毒や他の感染症と同じように抗生剤の服用で早期回復が可能です。

少しでも異変や違和感を感じたら最寄りの医療機関で診察を受けるようにしましょう。

女性の場合は主に膣に炎症が起こり、男性と同じく痒みや痛み、膿が発生する場合がありますが、妊娠中に淋病に感染すると流産や早産などの原因になってしまう恐れがあります。

パートナー間だけでなく胎児にも悪影響を及ぼすため、くれぐれも感染には注意が必要です。

クラミジア

クラミジアは国内で最も感染者が多いとされているSTDです。

クラミジア・トラコマチスと呼ばれる病原体が性行為によってパートナーの粘膜に付着し、感染すると男性の場合はクラミジア性尿道炎、女性の場合ですとクラミジア性子宮頸管炎(しきゅうけいかんえん)、男女共通では咽頭クラミジアを発症します。

主な症状としては、尿道の痛み・痒み・排尿時の違和感・膿が出ることがあり、女性特有の症状ではおりものの増加などがみられるようになります。

淋病の症状とよく似ていて強さで言えば淋病よりも弱い傾向にありますが、潜伏期間が淋病と比較して1週間から3週間と長く、しばらく無症状が続くため気づかずに感染を拡げる恐れがあるため注意が必要です。

またそのまま気づかない、もしくは軽い症状のため放置しておくと男性の場合では炎症が広がって金玉袋である陰嚢(いんのう)が腫れたり、痛みを生じる精巣上体炎(せいそうじょうたいえん)になる可能性もあります。

クラミジアも抗生剤の内服で1〜2週間程度で治りますが、まだ体内に潜伏している可能性もあるため、完全に体内から除去できているか1ヶ月後に確認検査を受けるようにしてください。

尖圭コンジローマ

尖圭コンジローマは亀頭や陰茎周りに赤い突起物のようなできものが発生するSTDですが、フォアダイス真珠様陰茎小丘疹(しんじゅよういんけいしょうきゅうしん)のようないわゆる「ちんこニキビ」と勘違いをしてしまいやすい傾向があります。

尖圭コンジローマは鶏のトサカのように先端が尖ったようなできものができますが、できものが発生する場所がフォアダイスなどのちんこニキビとよく似ています。

しかし、他のちんこニキビと違ってヒトパピローマウイルスというウイルスが病原体の性感染症であるため、自分だけの問題ではなくパートナーにも影響を及ぼすことから早期治療が必要です。

痛みなどの自覚症状はほとんどなく潜伏期間もおよそ約3ヶ月と大変長いことや、再発性も高くてなかなか完治しないといった特徴があり、不衛生になりがちな包茎の男性に多く見られます。

治療方法としては主に外科的療法による焼灼(医療用レーザーなどで病組織を焼死させる)や液体窒素による凍結法が主流です。

ファオダイスなど、ちんこニキビに関する詳しい内容については以下を参考にしていただけます。

ちんこニキビは治療が必要か。痛みや症状の原因について

性器ヘルペス

性器ヘルペスは単純ヘルペスウイルスによる性感染症で、性器周りや肛門付近に赤茶色の水ぶくれのようなできものが発生します。

この水ぶくれのようなできものが破れると排尿時に痛みや痒みが出ますが、痛みや不快感の強さは女性の方が強く出る傾向があります。

主な感染経路は性行為ですが、ウイルスが付着したタオルなどを共有することでも感染する可能性があるのが性器ヘルペスの特徴の一つです。

性器ヘルペスも抗生剤の内服を1週間ほど続けることで、症状は回復しますがまだ体内に潜伏している可能性もありますので、自己判断で治療を止めずに必ず医療機関で検査を受けるようにしてください。

体調不良や疲労感、ストレスによって悪化しやすい病気とも言われていて、治ったと思っても再発する可能性も高い病気であるため注意が必要です。

感染において危険なSTDと安全なちんこニキビの見分け方

ここまで主な性感染症の症状や特徴についてお伝えしていきましたが、健康上無害なちんこニキビとの見分け方はどのようにすれば良いでしょうか?

まず、一点目ができものの色です。

フォアダイスや真珠様陰茎小丘疹のようなちんこニキビは、できものの発生の仕方に多少の違いはありますが、基本的には皮脂のかたまりであるため白っぽい色をしています。

一方で、性感染症である尖圭コンジローマや淋病、性器ヘルペスの水ぶくれのようなできものは赤や赤茶色のような色のものが多いという特徴があります。

2点目が痛みや痒みといった症状や違和感です。

基本的にちんこニキビの場合は痛みや痒みといった違和感や症状はありません。

見た目の不快感から専門クリニックで除去される方もいますが、そのまま放置しておいても医学的見解からも全く問題ありません。

しかし、性感染症であるSTDはちんこニキビと違って、痛みや痒み、炎症などの症状が出ます。

STDの種類によって発症のタイミングに差はありますが、そのまま放置しておくと痛みや炎症が強くなってくるといった特徴があります。

上記2点がちんこニキビとSTDを見分ける方法になりますが、あくまでも目安で正確な判断には至らないことをくれぐれも念頭においておく必要があります。

STDで抑えておくべき大事なことは

  • 性交渉の機会がある方だと、誰にでも感染する可能性がある
  • 無症状や潜伏期間が長いものも多く、気づいた時には発症している場合がある
  • STDかどうかは見た目だけでは有害か無害か判断しづらい
  • そのまま放置しておくと感染拡大や重病に発展する恐れがある
  • 少しでも異変や違和感を感じたらすぐに最寄りの医療機関で受診する

以上の5つになります。

自己判断で判断したまま放置しておくことは大変危険であることを認識しておきましょう。

STDを未然に防ぐ予防方法について

本人が感染していることになかなか気づかないSTDはどのようにして防げばよいでしょうか。

物理的に防ぐ方法として最も効果が高いのが、コンドームの着用です。

コンドームを性行為時に装着することで、直接性器の粘膜が触れることを防ぐことができますし、衛生面や避妊効果も高くなるため安心して行為を行えます。

膣内への挿入時だけでなく、オーラルセックスやあなるセックスを行う際にも正しく着用することで予防効果はさらに高まりますが、喉に病原体がいる咽頭クラミジアだとキスでも感染する可能性がありますので注意が必要です。

もう一点が免疫をつけることです。

STDに限りませんが、免疫力が低下すると病気にかかるリスクは高くなります。

仕事の疲れやストレスが溜まったままの状態で性行為を行うと、感染もその分しやすくなりますので、常日頃から体調管理や健康管理に務めるようにしましょう。

感染率が高いSTDは被害が拡大する前に早期治療を行いましょう

性感染症であるSTDは本人含め、性行為のパートナーも感染させてしまうことを防ぐためにも早期発見と治療が何よりも大切です。

ペニスや陰嚢、肛門付近にできるできものは、健康上無害であるフォアダイスや真珠様陰茎小丘疹のようなちんこニキビと見た目が似ていることや、潜伏期間が長く無症状が続く場合も多いことから放置しがちです。

何度もお伝えしていますが、STDはそのまま放置しておくと痛みや痒みの悪化だけでなく、身体の他の部位へ影響を及ぼすことや、不妊症の原因、パートナー女性が妊婦の場合だと胎児にまで影響を及ぼします。

性感染症であるSTDですが、特に手術などを必要とせず抗生剤を内服するだけで回復できるものも多く、現在は治療薬の開発や医療の進歩により早期治療によって十分完治できるものが増えてきています。

自己判断で放置せず、STDが陽性なのか陰性なのかをまず検査することが大事です。

少しでも異変や違和感を感じたら、速やかに最寄りの医療機関で診察を受けるようにしてください。

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